DeFiの種類


目次

  1. はじめに
  2. DEX(分散型取引所)
     2.(1) Uniswap
     2.(2) Curve Finance
  3. Lending(ローン提供)
     3.(1) Aave
     3.(2) Compound
  4. おわりに

1. はじめに

DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)は、中央集権的な既存金融に対するアンチテーゼとして生まれた。以来、ブロックチェーン技術やスマートコントラクト等の発展と共に、様々な機能を持ったDeFiが生まれてきており、相互の関わり合いながら1,000を超えるDeFiが存在している。本レポートでは代表的なDeFiの例として、DEX(Decentralized Exchange:分散型取引所)と、Lenging(ローン提供)に関する概要を記述する。

2. DEX(分散型取引所)

本章では、DEXに関する概要を記載する。理解のために、既存の暗号資産取引所等のCEX(Centralized Exchange:中央集権型取引所)との比較で概要を説明する。前提として、CEXとは中央集権的な金融機関が管理する取引所のことを指す。CEXは伝統的な株式取引所や外国為替(FX)取引所と類似しており、取引時にはセキュリティや信頼性を担保するために、ユーザーがアカウントを作成し、個人情報を提出する必要がある。また一般的に、CEXは法律や規制に基づいて機能しており、AML(Anti Money Londering)の観点でトレード監視を行っている。一方で、DEXはブロックチェーン技術とスマートコントラクトによって取引が管理される取引所を指している。DEXはCEXと異なり、ユーザーが自分自身のウォレットで暗号資産を管理しており、ウォレットとDEXを接続するだけで取引を開始する事ができる。そのため、ユーザーはアカウント作成や個人情報提出は不要である。このような仕組みを捉えて、DEXは取引の自由度やプライバシーが高まっていると言われている。その他項目も含めたCEXとDEXの特徴の比較は、図1を参考にして頂きたい。

図1.CEXとDEXの比較 出所:Next Finance Tech作成

このように画期的な機能を有するDEXであるが、CEXの課題点を解決することで大きく普及してきたという背景がある。かつての中央集権型の取引所上では、暗号資産の流動性の低さ故に、希望額での取引が難しく利便性が低い時期があった。しかし、そういった問題点をDEX上にPoolという流動性を担保する仕組みを具備する事で解決し、DEXが徐々に普及してきたという背景がある。現在では、”規模の小さい暗号資産をも自由に取引できる環境”がDEXを通じて提供され、”1BTCを15ETHと交換したい”などの多様な需要に応えている。

以下で、代表的なDEXプロトコルを紹介していく。

2.(1) Uniswap

図2.Uniswap 出所:CoinMarketCapより

Uniswapは2018年にUniswap LabsによってリリースされたDEX(分散型取引所)であり、Ethereum上で動作するオープンプロトコルである。2023年7月24日時点では、総預かり資産額(TVL)は約5,400億円となっている。Uniswapは特徴的なAMMを採用しており、ユーザーがトークンの交換を行う際には、取引ペアのトークンの供給量と需要量に応じて価格が自動的に決定される仕組みで動いている。

2.(2) Curve Finance

図3.Curve 出所:CoinMarketCapより

Curve Financeは2020年にCurve FinanceによってリリースされたDEX(分散型取引所)であり、Ethereum上で動作するオープンプロトコルである。2023年7月24日時点では、総預かり資産額(TVL)は約6,100億円となっている。Curveは利用者が預けるETH等のトークンをバスケット化して安定した価格のトークンを発行し、そのトークン同士の交換を実現している。これにより取引が安定した価格で行われ低いスリッページでの取引が可能となっている。

3. Lending Platform(ローン提供)

次は、Lending Platformに関する概要を記載する。DEX同様に理解のために、既存の金融機関(銀行など)におけるお金の貸し借りと比較して概要を説明する。

既存の金融機関における貸し借りは、サービスの提供主体である金融機関が管理者として存在し、ユーザーは管理者を通じてお金の貸し借りを行っている。そのため、一般に人による知見を要する審査だけでなく、取引、利子の支払いにおいても、多くの手動の作業が残存している。

一方で、Lending Platformは、ブロックチェーン技術/スマートコントラクトによって取引が管理される金融プラットフォームである。Lending Platformでは、取引や利子の支払いがプログラムに基づいて自動実行される。そのため、ユーザーは中央集権的な金融機関を介さずに、暗号資産を貸し出して利子を獲得することや、トークンを担保に暗号資産を借り入れすることができる。その他項目も含めた特徴の比較は、図4を参考にして頂きたい。

図4.既存金融における貸し借りとLending Platformの比較 出所:Next Finance Tech作成

法整備の不十分さや、暗号資産自体のボラティリティなどのリスクも存在するが、貸し手は銀行預金などと比べて、はるかに高い金利での運用が可能であり、借り手も自由度の高い借り入れを行うことができるため、少しずつ普及が進んでいる。それでは、以下で代表的なLending Platformを紹介していく。

3.(1) Aave

図5.Aave 出所:CoinMarketCapより

Aaveは2017年にAaveからリリースされたLending Platformであり、Ethereum上で動作するオープンプロトコルである。2023年7月24日時点では、総預資産額(TVL)は約6,800億円となっている。Aaveの特徴として、「フラッシュローン」という機能を導入して、無担保で仮想通貨を借りられる点が挙げられる。

3.(2) Compound

図6.Compound 出所:CoinMarketCapより

Compoundは2018年にCompoundからリリースされたLending Platformであり、Ethreum上で動作する。2023年7月24日時点では総預資産額(TVL)は約1,800億円となっている。Compoundの特徴として、市場の変動に応じて金利が変化する自己調整機能が挙げられる。

4. おわりに

本レポートでは、代表的なDeFiプロトコルとして、DEXまわりでUniswapとCurveを、LengingまわりでAaveとCompoundについて概要を紹介してきた。各DeFiプロトコルに関する定量/定性的な分析については別レポートで解説していくので、是非参考にして頂きたい。また、上記で紹介した代表的なDeFiプロトコルの他にも、デリバティブ、保険を目的としたDeFiプロトコルも登場している。さらに、LendingとDEXを組み合わせた信用取引のできるプラットフォームなど複合的な機能を持つDeFiプロトコルも登場してきている。今後も、ユーザーの金融ニーズの多様化にあわせて、既存DeFiプロトコルの発展、及び新しいDeFiプロトコルの登場が想定されるため、継続的に動向を追う必要がある。