ステーキングの税金を解説!報酬を受け取らないこともできる?
目次
- ステーキングにかかる税金について
1. ステーキングで得た暗号通貨は雑所得
2. 雑所得はほかの所得と統合して所得税・住民税を支払う
3. 今後想定される税制度の変化 - ステーキングで得た報酬は確定申告の対象
1. ステーキング報酬を得た年に所得が発生する
2. 雑所得が発生したら原則として確定申告が必要
3. 会社員は給与所得以外が合計20万円以下なら確定申告が不要に - ステーキング報酬による所得
- ステーキング報酬で得た暗号通貨を売却した所得
- ステーキングに関する確定申告の方法
1. 雑所得が20万円を超えたらかならず確定申告を
2. ステーキング報酬を獲得した年の確定申告
3. ステーキング報酬を獲得し、年内に売却した年の確定申告
4. ステーキング報酬を翌年以降に売却した場合の確定申告 - 確定申告をしなかった場合
- まとめ
暗号通貨のステーキングに参加すると、預け入れ数量や期間に応じて報酬を受け取ります。 ステーキング報酬は、ほかの暗号通貨による収益と同様に雑所得に分類されます。雑所得が発生すれば、原則として確定申告をして適切な所得税・住民税の納付が必要です。今回はステーキング報酬にかかる税金や確定申告の方法について紹介します。
1. ステーキングにかかる税金について
ステーキングとして得た暗号通貨は「雑所得」に分類されます。 株式や投資信託など一般的な有価証券とは所得項目が異なるため注意しましょう。まずは、ステーキング報酬の所得にかかる税金や雑所得の概要、今後想定される変化は下記の通りです。
1. (1) ステーキングで得た暗号通貨は雑所得
ステーキングを通じて獲得した暗号通貨は、ほかの暗号通貨による収益と同様に「雑所得」に分類され、他の所得と統合したうえで所得税がかかります。 所得には10種類ありますが、ほかのどの所得にも分類されない所得を「雑所得」と呼びます。
課税対象となりうる所得の種類

株式や投資信託などの有価証券で得る収益は配当所得または譲渡所得となります。また、FX・先物取引は雑所得ではあるのですが、申告分離課税が適用されます(FXも「先物に係る所得」として扱います)。総合課税の暗号通貨とFX・先物は課税方式が異なるため、実質的に別のカテゴリとして考えた方がよいでしょう。
1. (2) 雑所得はほかの所得と統合して所得税・住民税を支払う
雑所得は給与所得などほかの総合課税の所得と合計して、各種控除や経費を差し引いた金額に対して所得税がかかります。所得税率は所得水準に応じて5%~45%です。
さらに、前年度の所得水準に対して住民税もかかります。雑所得も、住民税の課税対象の一つです。税率はほかの所得と同様でおよそ10%ですが、自治体により制度が異なる場合があります。
ステーキング報酬は付与時点で課税対象となり、その後の売却時には売却益が発生します。
両者が同じ年であれば、シンプルに獲得した円の収益を雑所得とすればよいですが、年をまたぐ場合はそれぞれの年に確定申告が必要となるため注意しましょう。
1. (3) 今後想定される税制度の変化
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)と一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は、2024年7月に、共同で暗号通貨を取り巻く税制の改正要望書を政府に提出しています。
そこでは、暗号通貨の所得区分の見直しが提案されています。また、株式の所得と同様に、20%の申告分離課税、3年間の損失繰越控除(3年間の間であれば、ある年の損失と別の年の収益を相殺して、納税額を減らせる仕組み)に変更する要望を出しています。
現在のとこと、ステーキング報酬を含む暗号通貨による所得は総合課税となっています。所得税の累進課税が適用されるため、最高で45%(住民税を含めると55%)の税金がかかる制度です。投資家の所得水準次第で高額な税金を課せられる制度が、暗号通貨への投資促進の阻害要因となっていると考えられます。
この要望が実現すれば、高所得者はいまよりも税負担を抑えて暗号通貨でのステーキングが可能になります。
2. ステーキングで得た報酬は確定申告の対象
ステーキング報酬は「雑所得」に分類されるため、原則として確定申告をする必要があります。 仮に暗号通貨を売却せずとも、報酬を受け取ったその年に所得が発生するので注意しましょう。
2. (1) ステーキング報酬を得た年に所得が発生する
ステーキング報酬は、報酬として暗号通貨を受け取ったときに所得が認識されます。 対象の暗号通貨を売却して円を獲得したときではないので注意しましょう。たとえば、2024年にステーキング報酬を受け取ったとすれば、たとえ売却しなかったとしても、2024年には暗号通貨による雑所得が発生したものとみなされます。
2. (2) 雑所得が発生したら原則として確定申告が必要
総合課税の雑所得が発生した場合は、原則として確定申告が必要です。 ステーキング報酬に限ったものではなく、全ての総合課税の雑所得に当てはまります。確定申告は1年ごとを区切りとして作成するものです。たとえば2024年に一度でも雑所得が発生したら、2024年分の確定申告を行う必要があり、例年であれば翌年の3月半ばまでに書類を税務署に提出しなければなりません。
給与所得や源泉徴収される所得については、確定申告をせずとも納税が完結する場合が多いといえます。一方で、総合課税の所得水準および納税額を確定させるためには、確定申告が必ず必要です。
2. (3) 会社員は給与所得以外が合計20万円以下なら確定申告が不要に
会社員の特例として、給与所得以外の所得が合計20万円以下におさまるなら、確定申告が不要となるルールがあります。 ステーキング報酬が少額にとどまる場合には、こちらの特例により確定申告が不要となる方もいるでしょう。
ここでは総合課税・源泉分離課税等の別なく、すべての給与所得以外の所得を合算して判別します。「雑所得だけで20万円以下」ではない点に注意しましょう。たとえば有価証券やFXなど、ほかの資産運用も行なっている方は、全ての所得を正しく足し合わせて、確定申告の要否を判断してください。
なお、所得が20万円以下で確定申告を省略した場合も、住民税の申告・納付は発生する可能性があります。確定申告をしない場合には、住む市区町村に連絡をして住民税納付の手続きを進めてください。確定申告をした場合には、税務署経由で所得の情報が自治体に届くので、改めて住民税の申告をする必要はありません。
3. ステーキング報酬による所得
ステーキング報酬として暗号通貨を受け取った瞬間に、所得として認識されます。 具体的にいつステーキング報酬を受け取るのかは、利用しているサービスやステーキングのプランによって異なるため、個別のルールをあらかじめ確認しておきましょう。
ステーキングの報酬は「取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)」を所得に反映するとあります。(出所:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」)
すなわち、ステーキング報酬の所得は以下のように計算されます。
ステーキング報酬の所得=(獲得したステーキング報酬数量)×(その暗号通貨の日本円ベースの価格)
ステーキング報酬として得た通貨を年末まで売却しなかった時には、上記を計算して、確定申告の所得に加える必要があります。
4. ステーキング報酬で得た暗号通貨を売却した所得
ステーキング報酬で得た暗号通貨を売却した場合は、売却したのが報酬獲得をしたときと同じ年か、あとの年かによって考え方が変わります。仮に報酬受取と売却が同じ年だった場合、その部分の実質的な収益は報酬で得た金額となります。
ステーキング報酬所得+売却による所得=(売却した暗号通貨数量)×(売却時の日本円ベースの価格)
暗号通貨の場合は、ステーキング報酬と売買収益がともに「雑所得」となるので、上のような簡潔な式が成り立ちます。
一方で、報酬受取よりも後の年に該当する暗号通貨を売却したときには、すでにステーキング報酬見合いの税金を支払い済です。仮に売却時の価格が報酬獲得より高ければ、次の式で売却益を計算して確定申告しなければなりません。
売却による所得=(売却した暗号通貨数量)×(売却時の日本円ベースの価格 - ステーキング報酬獲得時の価格)
逆に売却時に値下がりしていたときは損失が発生します。この場合、他の総合課税所得と通算して所得税額の抑制できますが、所得額を正しく認識するために確定申告が必要です。
5. ステーキングに関する確定申告の方法
ステーキングで報酬を得た場合は、基本的に確定申告が必要になります。 ステーキング報酬を得た瞬間に課税の対象となるため、獲得した暗号通貨を売却しなかったとしても確定申告しなければならないので注意しましょう。
5. (1) 雑所得が20万円を超えたらかならず確定申告を
ステーキングによる報酬のように雑所得が発生したときには、確定申告が必要となる可能性があります。 例外として年収2,000万円以下の給与所得者で、その年の雑所得が20万円以下の場合には確定申告を省略できます。雑所得が20万円を超えたら、必ず確定申告が必要です。
確定申告は、その年の所得を計算して、正確な所得税額を算出するための手続きです。例年どおりのスケジュールであれば、基本的に年明け後の3月半ばまでに提出しなければなりません。
ステーキング報酬として暗号通貨を得たときには、まず報酬を獲得した年に確定申告が必要です。 もしその暗号通貨を翌年以降に売却したときには、売却益が発生した年にも確定申告をしなければなりません。
5. (2) ステーキング報酬を獲得した年の確定申告
ステーキング報酬として暗号通貨を獲得して、そのまま年末まで保有し続けたときには、暗号通貨の時価をもとに獲得した日本円ベースの所得額を算出します。 時価は自分で計算するのではなく、取引所やステーキングサービスから付与される年間取引報告書を参照した方が、間違いがないでしょう。
国税庁では、暗号通貨の計算用のエクセルシートを配布しています。こちらをもとに計算すると、間違えないでしょう。ステーキング報酬を取得してそのまま年末まで持ち続けた場合には「2 年間取引報告書に関する事項」に記入します。
たとえば、ある暗号通貨で5単位・合計20万円のステーキング報酬を得たとしましょう。このとき「購入」の方には5単位・200万円を入力します。また、「売却」の方にも数値を記入する必要がある点に注意しましょう。実際に売却していなくとも「数量0、金額200万円」を入力します。こうすることによって、所得額200万円が認識される仕組みです。

5. (3) ステーキング報酬を獲得し、年内に売却した年の確定申告
ステーキング報酬を暗号通貨で獲得し、なおかつ年内のうちに売却をした場合には、売却によって獲得した価格損益も加味して所得を算出します。
ここでは、5単位・合計200万円の暗号通貨をステーキング報酬として取得し、さらに年内に総額250万円で売却したとします。そのときには、「2 年間取引報告書に関する事項」に以下のように入力します。

以上に記載すると、正しい所得額の250万円が反映されます。一旦「売却」のところに、数量0で取得金額を入力して、売却時の情報を一行下に記入する点に注意しましょう。こうしなければ、正確な所得額が算出されません。
5. (4) ステーキング報酬を翌年以降に売却した場合の確定申告
ステーキング報酬として得た暗号通貨を翌年以降に売却した場合には、売却の情報と過去に報酬を獲得した年の申告額を記載する必要があります。
ここでは例として、前年の確定申告で「5単位・200万円」のステーキング報酬を暗号通貨で獲得したことを申告済みで、今年にその暗号通貨を「5単位・300万円」で売却したとしましょう。まず、「2 年間取引報告書に関する事項」に売却金額の300万円の情報を入力します。

これだけでは、前年に取得した情報が反映されず、雑所得が300万円となってしまいます。そこで、下段の「4 暗号資産の売却原価の計算」に前年の残高である5単位200万円を記入します。

以上で、今年の所得額は100万円と計算され、正しい所得額となります。
6. 確定申告をしなかった場合
暗号通貨の取引で確定申告が必要となる規模の雑所得を獲得したにもかかわらず、確定申告を怠ると、無申告加算税が発生して本来よりも多くの税金を支払わなければなりません。もし、税務署から指摘された場合は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもので、以下の加算税が課せられます。

もし、自発的に気づいて申告すれば、無申告加算税は未納税額にかかわらず5%に軽減されます。また、税務調査後に期限後申告をした場合も、それぞれ以下のように軽減されます。

7. まとめ
ステーキングを通じて獲得した暗号通貨は、雑所得の一種となります。 給与所得者であれば、雑所得が20万円を超えたら確定申告が必要です。なお、仮に暗号通貨を売却せずに年末まで持ち続けたとしても、暗号通貨の時価に基づいて所得を算出し、税金を支払う必要があります。もし翌年以降に売却をして収益が発生した場合には、売却益の部分に税金がかかります。
暗号通貨の確定申告は、複雑な計算となりがちなため「暗号資産等に関する税務上の取扱及び計算書について(令和5年12月)|国税庁」にてダウンロードできる、計算シートを使用することをおすすめします。確定申告が必要にもかかわらず怠った場合には、最大30%の重い加算税を課されるため、必ず遅滞なく確定申告を済ませてください。