Web3.0への道:代表的なサービスと今後の課題


目次

1.はじめに
2.Web3.0を代表するサービス
 1. Brave
 2. OpendSea
 3. The Sandbox
 4. Uniswap
 5. STEPN
3. Web3.0の現状の課題
 1. ブロックチェーンにおける課題
 2. ブロックチェーン以外における課題
4. おわりに

1. はじめに

前レポートでは、Web3.0の基本的な概念やWeb1.0、Web2.0との違いについて解説した。ここではその知識を基に、具体的なWeb3.0のサービスを取り上げ、どのようにして新しいインターネットの形を体現しているかを見ていく。また、現状におけるWeb3.0の課題についても詳しく解説し、今後の発展に向けた視点を提供する。本レポートを通じて、Web3.0の現状と課題に関する理解がさらに深まることを期待している。

2. Web3.0を代表するサービス

前章までのWeb3.0の概要や特徴を踏まえて、本章ではWeb3.0を代表するサービスを解説する。

2.(1) Brave

1つ目はBraveという検索ブラウザである。Google Chromeと同様のオープンソースのウェブブラウザであり、広告のブロック、トラッキングの防止、及びプライバシー保護機能に優れている。Braveブラウザを使うメリットとして、広告が表示されないことと、それに伴いサイトの表示速度が速いことがある。またホーム画面で広告を閲覧可能なモードにすると、暗号資産を稼ぐこともできる。

図1. Brave イメージ 出所:https://brave.com/ja/brave-ads/

2.(2) OpenSea

2つ目はOpenSeaというブロックチェーン上で動作するNFT(Non-Fungible Token)を取引するためのプラットフォームである。アーティスト、デザイナー、ゲーム開発者などが自分たちのNFTを販売し、コレクターやファンはそれらのNFTを購入することができる。これはアーティスト、デザイナー、ゲーム開発者などのクリエイターにとっては新しい収益源となっている。

図2. OpenSea イメージ 出所:https://opensea.io/ja/collection/boredapeyachtclub

2.(3) The Sandbox

3つ目は、THE SANDBOXというピクセルベースのメタバース空間で自由に活動できるエンタメゲームである。同名のゲームから発展したブロックチェーン上のメタバースとして有名である。ユーザーは、プラットフォーム上で土地を購入し、それらの土地の上マインクラフトのように独自のコンテンツを作成することができる。

図3. The Sandbox イメージ 出所:https://sandboxgame.online/map/

2.(4) Uniswap

4つ目は、Uniswapというイーサリアムのブロックチェーン上に存在する分散型取引所(DEX)である。

まず、取引所とは、商品を売りたい人と買いたい人、双方の希望価格が合致したときに取引が成立する場所のことをいう。Uniswapは、暗号資産を取り扱う分散型取引所であるので、世界中のどこにいるユーザーでも、仲介者なしで暗号資産の売買取引ができる。また、トークン交換時の価格決定には自動マーケットメイキング(AMM)アルゴリズムを使用しており、取引価格を市場需要と供給に基づいて自動的に調整する。

図4. Uniswap イメージ 出所:Uniswap webサイトより

2.(5) STEPN

最後はSTEPNというNFTゲームである。NFTスニーカーを準備してウォーキングやランニングをすると、報酬としてユーティリティトークンの「グリーンサトシトークン(GST) 」を獲得することができる。2022年はじめにリリースされ、直後の4~5月頃には価格が急騰したが、6月以降利用者は減少の一途をたどり、10月には10万人のMAUとなった。

図5. STEPN イメージ 出所:Google Play を基にNext Finance Tech社作成

3. Web3.0の現状の課題

前章でWeb3.0の具体的な事例を見てきた。このような事例を見るとWeb3.0はマスアダプションしているように見えるが、Web3.0が発展する上で課題はないのだろうか。実はWeb3.0が発展する上での課題は多くある。ブロックチェーンにおける課題と、そうでない課題に分けて以下で解説する。

3.(1) ブロックチェーンにおける課題

ブロックチェーンにおける最も根深い課題は、普及するきっかけとなるユースケースが少ないことである。執筆時点(2023年3月末)では、先ほど事例として取り上げたSTEPNのようなGameFi領域では活況になっているものの、まだ実需が明確なユースケースが少ない印象である。

また、もう1つの大きな課題としてUI/UXがリッチでないことが挙げられる。この点は、時間が解決する課題ではあるが、現状ブロックチェーンを活用したWeb3.0アプリケーションのUI/UXは、既存のWeb2.0のアプリケーションのUI/UXに品質で及んでいない。例として、Web2.0における決済アプリと、Web3.0におけるウォレットアプリを比較する。Web2.0の決済アプリであれば、決済履歴を可視化・分析し示唆を出す所まで提供するケースがある一方で、Web3.0のウォレットサービスには資産の可視化アプリが漸く登場したところである。

3.(2) ブロックチェーン以外における課題

ブロックチェーン以外における課題としてハッキングが少なくないことがあげられる。これは特に暗号資産・トークン/DeFiの分野における課題であり、実際にいくつかのDeFiプロトコルから資金が盗難されているケースがある。また、ハッキングとは別だが、FTX事件や、ルナショックなどの運営組織のガバナンスに問題があるケースも挙げられる。

4. おわりに

本レポートでは、Web3.0を代表するサービスの具体例を挙げ、その特徴や活用事例、さらには現在直面している課題について述べた。Web3.0は、個人の情報管理を重視し、Web2.0の集中的な管理構造から脱却を図っているが、利便性やユーザビリティの点で改善の余地が多く残されている。今後、これらの課題が解決されることで、Web3.0はUI/UXの向上とともに、社会的なインパクトを持つユースケースを生み出していくだろう。